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公益財団法人がん研究会さんは、平成23年以降、雇用の検討を目的とした「実践能力習得訓練コース(以下、実践訓練)」を定期的に活用しています。訓練実績は21名ほど。うち14名が雇用へ結び付きました。
当初は「清掃、配膳、医療器具の整備、処理室内軽作業、ベッド清掃、車椅子清掃」など作業系を中心に訓練を行ってきましたが、27年度には「事務補助作業」も追加、障害のある方に多様な仕事を切り出しています。
障害者雇用促進法に定められた「障害者雇用率」を達成すべく採用計画を立案する担当に新たに着任された西田様に、実践訓練を活用したメリットについてお伺いしました。
事業所名: 公益財団法人がん研究会 有明病院 東京都江東区有明3-8-31(臨海副都心)
1908年 日本初のがん専門機関として創設
外来患者数: 約1600人/1日
職員数: 約1800人(平成28年1月現在)
障がい者雇用:
身体障害、知的障害、精神障害、発達障害(委託訓練は知的障害の方が対象)
良かったと感じたことの一つは、業務の切り出しをしていくなかで、今まで見えていなかった作業に気付いたことです(例えば「ベッド清掃」は各病棟により清掃の方法が異なるなど)。実践訓練をきっかけに各病棟とのコミュニケーションが密となり、院内の業務を全体的により深く理解することができました。今後も業務の切り出しを行いながら同時に院内業務の見直しを進めることができると感じています。
二つ目は委託訓練のコーディネーターさんのアドバイスです。採用の検討が必須ではあるが、「何をどうすれば良いかわからない・・・」時に、訓練カリキュラムの内容チェックから訓練前面接、訓練開始、修了まで、不明点や不安に思ったことはその都度相談しアドバイスを受けました。わかりやすく指導をいただいたことで、訓練から雇用の検討に向けて勢いがつきました(笑)。また訓練前面接においては、内部のものだけでは偏った見方になりがちなことも、外部の方(委託訓練コーディネーター)が加わることで別の視点からのご意見が頂けました。
三つ目は、実践訓練を活用する際の訓練公募の度に「がん研究会は障害のある方の採用を検討している」「常に障がい者雇用と向き合っている」と各方面にアピールできることです。私たちは自らの使命として、法定雇用率を下まわらないように活動しています。その姿勢が、各媒体などに伝わり、何らかの形で障がい者雇用が広がればとも思っています。また、訓練の希望者の方々へは、訓練説明と同時に、障がい者雇用説明会を開催するなど、がん研究会を理解していただくように努めています。
現在は「ワークサポートチーム」という名称で、院内でも認知度が高まりました。各病棟からの依頼をもとに、個々の特性、体調等を考慮して、効率よく業務がまわるよう時間割を作成。午前が作業系、午後が事務系など、一人ひとりが個別に多様な作業に携わっています。時間割どおりにいかない場合(急な休み)などのフォロー体制や、各病棟で急な依頼や問い合わせがあれば駆けつける等、日々奮闘しています(笑)。
今回の実践訓練では訓練用カリキュラムを作成するのではなく、「12日間」という短い訓練期間ではありましたが、訓練時間や、訓練内容は実際雇用された時と同じ内容を行いました。業務遂行力や障害特性が概ね把握できたことで、雇用後の支援体制をどのようにおこなえばよいか検討する機会に役立ちました。病院での障がい者雇用は大変ではないかという外部のご意見もありますが、医療従事者でなくてもできる業務は多くあります。今後も実践能力習得訓練コースを活用し、安全に安心して働けるように配慮しながら、活き活きと働ける職場を作り上げていきたいと思います。
仕事に前向きに取り組む姿勢が印象的な、就職後1ヶ月の方(20代女性)に話を伺いました。
実践訓練をして良かったことは、職場環境や仕事の内容、担当の方の名前が事前にわかっていたことです。前もって知っていたので、就職が決まった時も安心でした。実際に働き始めると、もっと多くの方と関わりがあり、忘れないようにと名前をメモして覚えました。就職直後には、どうしてよいかわからず困ったこともありましたが、そういうときは西田さんにすぐに相談しています。
慣れてくるうちに嬉しいこともありました。自分が清掃したベッドを患者さんが使用してくれるのを見たとき、患者さんから「おはよう」や「ありがとう」と、あいさつをいただいときなど。自分の仕事が誰かに役立っていると感じたり、患者さんとコミュニケーションがとれたりしたときです。
今は少し仕事にも慣れ、事務補助作業なども決められた時間内できっちりと終えるよう(作業が中途半端のまま終了しないよう)に、自分なりに工夫しながら、仕事の楽しさも感じています。
通勤ラッシュなどがつらいと思うこともあるけれど、これからも仕事はずっと続けていきたいです。
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